小宮山康子さん(グランミューズ会員)がグランド・アマチュアコンクールで1位受賞
2023年度ピティナ・ピアノコンペティショングランミューズ部門B1カテゴリーで1位を受賞された小宮山康子さんが、 グランド・アマチュアコンクールで第1位と国際プレス賞を受賞されました。日本人が第1位を受賞したのは史上4人目。
小宮山さんと指導者の長谷正一先生のお二方にお話を伺いました。
グランド・アマチュアコンクールでの第1位、おめでとうございます!
仕事と演奏の両立というキャリアを選んだアマチュアピアニスト100名が世界各国から集うコンクールで、長谷先生にご指導いただく2022年から目標としていた舞台でした。
奏者の美点を引き出すことがこのコンクールの意義なので、二次予選で実力を発揮できなかった方に一次予選の曲を弾き直してもらって、弾き直した演奏が素晴らしければ三次予選に進む、ということもある。「アンチ・コンクール主義」を掲げる興味深いコンクールです。
私も、予選後のレセプションで審査員の方から「あなたのデュティユーよかったから二次でも弾いて」とご提案いただきました。二次予選が接戦で、当初の予定より進出枠数を増やすといった柔軟さもこのコンクールならではだと思いました。
受賞しての率直なお気持ちを聞かせてください。
コンクール挑戦は仕事と共通する点があると思います。プロジェクト遂行に向けて計画を立てて、やるべきことを着実に積み重ねていく。無事に完遂できてほっとした、というのが正直な気持ちです。
演奏するうえで意識していたことは?
選曲の段階から、長谷先生がくださる率直なアドバイスがとても興味深くて。選んだデュティユーの「コラールと変奏」は、コンクールの場でプレゼンテーションするための要素がふんだんに詰め込まれた作品だと思います。本番の心得としていただいた「この箇所では何を伝えたいのか、常に意識する。そして明確に伝わるように表現する」というご指導も心に響きました。
テクニック面だけでなく作品が生まれた歴史的背景、感情的な側面も相まって一つの音楽が結実する。その領域まで作品と向き合えているか、つまり完成度も審査員が注目している点であることはお伝えしました。
私は水彩画のように淡く表現しがちですが、長谷先生はマティスのような色彩感、彫刻のような立体感で再構築される。特に海外では作品のキャラクターが一瞬たりとも曇ることのないよう、細部まで表現するようご指導いただき、意識して演奏しました。
ピアノを再開してから今に至るまでの経緯が気になります。
私はピティナっ子で、夏と言えばコンペ。ですが音楽の道に進む選択はせず、ピアノは引退したつもりでした。ですが娘がピアノを習い始めて、先生と熱のこもったやり取りをする姿に刺激を受け、レッスンを再開。一時は腱鞘炎になりましたが、本村久子先生に身体の使い方をお教えいただき、コンクールを受けられるまでに快復しました。本格的にコンクールを目指すにあたって長谷先生とお引き合わせいただきました。長谷先生は、生徒の年齢やバックグラウンドを問わず、誰に対しても妥協なくご指導くださる。その一方で、仕事や家庭生活と両立できるロードマップを示してくださるのが有難くて。大人になっても尊敬できる師について学ぶ喜びを実感しています。
今後の目標を教えてください。
今回のコンクールの褒賞として、10月にコンチェルトを演奏させていただくので、今はそこに集中しています。曲はラヴェルのピアノ協奏曲です。レッスンを再開するきっかけをくれた娘や、同じくピアノが好きで私の挑戦を応援してくれる夫、コンクールの場を共にしたグランミューズの仲間…支えてくれる周囲の皆様に感謝を込めて取り組みます。