音楽教室での演奏に関わる著作権について

2017年6月から5年以上にわたる、音楽教室(音楽教育を守る会)とJASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)の裁判について、2022年10月24日、最高裁判所での判決が下された。
2017年当時、音楽教室からの著作権料徴収を取り下げるための署名活動に対し、ピティナから44,018筆を提出(計557,357筆)。署名にご協力いただいた皆様への御礼とともに、一連の経過を振り返り、留意点について確認したい。

2017年6月
署名へのご協力ありがとうございます

(1)裁判の経過について

2017年2月、JASRACより音楽教室での楽曲利用(演奏)に対して受講料収入の2.5%を徴収する方針が出されたことを機に、「音楽教育を守る会」が発足し、福田成康専務理事が理事に就任。ピティナ会員や関係者に向け、署名活動の協力を依頼し、約3か月間で44,018筆の署名を集めた。

2017年6月20日に提訴された裁判は、2年半以上が経過した2020年2月28日に一審判決が下されたが、音楽教育を守る会の請求が全面的に棄却される内容だった。

参考(PDF):知的財産権に関係する民事事件の平均審理期間(全国地裁第一審)は14.3か月(2012年~2021年)/知的財産高等裁判所のウェブサイトより

2021年3月18日、知的財産高等裁判所での控訴審では、「生徒の演奏には著作物使用料が発生しない」ことは認められた。

一審判決では、「カラオケ法理」と言われる「クラブ・キャッツアイ事件」の判例に従い、教師・生徒いずれの演奏も、音楽教室事業者を演奏主体と判断された(音楽教室での演奏すべてに使用料を徴収できる)。これに対して、高等裁判所では、教師についてのみ演奏主体を音楽教室事業者と認定した。

2022年10月24日、最高裁判所では、高等裁判所での争点に関する「生徒の演奏についての主体が生徒か音楽教室事業者なのか」の一点に絞られた審理となり、上告棄却の判決(原告・被告が共に上告)。生徒の演奏には著作物使用料が発生しないが、教師の演奏には著作物使用料を支払う必要がある、という高等裁判所での判決が確定となった。

判決までの流れ
JASRAC 2017年2月 JASRACの管理する楽曲を使用する音楽教室に、受講料収入の2.5%を徴収する方針を発表。
音楽教育を守る会 2017年2月2日 発足/ピティナ福田成康専務理事が発起人として参加
ピティナ 2017年3月

署名活動に協力(6月末までにピティナで44,018筆の署名を提出/計557,357筆)。

参考記事:音楽教室からの著作権料徴収を取り下げるための署名のお願い
音楽教育を守る会 2017年6月20日

会員249社で原告団を結成し「音楽教室における著作物使用にかかわる請求権不存在確認訴訟」を東京地方裁判所に提起。

参考記事
第一審 2020年2月28日

東京地方裁判所で判決(音楽教育を守る会の請求が棄却)

声明文(PDF) |  判決文(PDF)
控訴審 2021年3月18日

知的財産高等裁判所で判決(生徒の演奏には著作物使用料が発生しないが、教師の演奏には著作物使用料を支払う必要がある)

声明文(PDF) |  判決文(PDF)
上告審 2022年10月24日

最高裁判所で判決(生徒の演奏についての演奏主体は生徒であり、その結果、音楽教室において、その多くの割合を占める生徒の演奏には演奏権はおよばない)

声明文(PDF) |  判決文(PDF)

第一審・控訴審・上告審に関する声明文・判決文:「音楽教育を守る会」のウェブサイトより
(2)最高裁判所の判決によって確定したこと/今後について
確定したこと
「演奏権」について
  • 生徒の演奏には演奏権はおよばない
  • 教師の演奏には演奏権がおよぶ(JASRACが使用料を徴収できる)
今後について
音楽教育を守る会 大池真人会長より

最高裁判所の判断によれば、生徒の演奏についての演奏主体は生徒であり、その結果、音楽教室において、その多くの割合を占める生徒の演奏には演奏権はおよばないこととなります。

今後、JASRACとは、音楽教室における講師の演奏と録音物の再生演奏についての適切な著作物使用料率を求める協議を始める所存です。

今回の最高裁判決を踏まえて、私たちは、著作物の利用と保護の適切なバランスを考え、音楽文化の発展に寄与して参りますので、引き続き皆様のご支援の程をお願いする次第です。

【広告】