角野隼斗さん「アップライトピアノ・プロジェクト」記者会見を実施しました

誰かのための演奏でなく、自分の心と向き合う演奏体験を。ピアニスト・角野隼斗の"相棒"ともいえるアップライトピアノが生み出す、音楽と人とのつながり。2025年5月1日より第Ⅱ期企画の全国公募を開始

ピアニスト・角野隼斗さんが発案し、監修を務める「アップライトピアノ・プロジェクト Piano for Myself」が、2023年7月から2024年11月にかけて全国17か所で実施されました。2025年4月7日に都内で開催された記者発表会では、その第Ⅰ期の成果が報告されるとともに、第Ⅱ期(2025年6月~2026年3月)の実施に向けた企画公募を発表いたしました。

角野隼斗アップライトピアノ・プロジェクト 記者会見
全国17か所に広がった“音楽の旅”

本プロジェクトは、角野隼斗さんがツアーで実際に使用した特別仕様のアップライトピアノを全国各地に届け、誰もが自由に演奏できる場を創出する取り組みです。2023年7月、スタインウェイ&サンズ東京での展示を皮切りに、福井の地域イベント、山梨の私設音楽サロン、富山・瑞龍寺(国宝)、広島での平和文化祭、美術館、高校の音楽祭など、多様な地域と形式で展開しました。のべ3,000名以上が演奏し、7,000名を超える来場者を迎えました。

プロジェクトの原点にあるのは「誰でも自由に弾ける空間」を届けたいという角野さんの想い。それが全国各地の主催者の創意工夫により、ピアノが移動を続けていくたびに当初の想定を超える多彩なアイデアや価値が生まれ、想いはひきつがれていきます。ピアノと親密に向き合う時間と、思いがけないつながりを生み出す“音楽の旅”を、今年、また続けていくこととなりました。

会場:長岡京市中央生涯学習センター
会場:呉信用金庫ホール
会場:玉川高島屋S・C 本館1階
プロジェクトの原点は“自分のために弾く音楽”

本プロジェクトの副題である「Piano for Myself」には、「自分のために奏でる音楽」もまた価値のあるものだという、角野隼斗さんの強い思いが込められています。

もともと角野さんが自宅で実験的に使っていたアップライトピアノは、フェルトを仕込むことで柔らかく繊細な音色を奏でる特別仕様の一台。2023年のツアーで本格的に導入されたこのピアノは、コンサートホール向けのフルコンサートグランドとは異なり、演奏者と音が静かに向き合う“対話的な音響”が特徴となっています。

音楽を「聴かせる」から「感じる」へと再定義するこの取り組みは、世代や地域を超えて、多くの共感を呼んでいます。

主催者の声から見えた“地域と音楽の化学反応”

各地での実施において、主催者たちはそれぞれの地域特性を生かした独自の企画を展開されました。
ジャズフェスティバル、商業施設のクリスマスイベント、小学生向けのワークショップ、寺院での瞑想的な演奏体験、さらには仏像展でのお経との即興コラボレーションまで、開催スタイルは多岐にわたります。

多くの主催者が語ったのは、「普段ピアノに触れる機会のない人々が自然と集まり、世代や立場を越えて交流が生まれた」こと、そして「“誰でも自由に弾ける”という空間そのものが、地域の人々に温かな余白をもたらした」ことです。

会場:三原市芸術文化センター ポポロ
会場:アルパーク西棟1階センターコート(広島)
会場:国宝高岡山瑞龍寺 大庫裏
会場:山口情報芸術センター[YCAM]

第Ⅰ期では、東京都内の高校でもプロジェクトが展開され、生徒主導で音楽祭が企画されました。

朋優学院高等学校卒業生の谷﨑優樹さんらは、こう語ります。

「自分もこのピアノを弾きたいと思っても、最初はなかなか行動に移せませんでした。 でも、“学校で音楽祭をやりたい”という思いに背中を押されて応募して、参加が決まったときは本当に嬉しかったです。実際に設置してみたら、野球部の人も弾いていて、“えっ、弾けるの!?”と驚きました。普段関わらない人とも音楽でつながれたことが、一番印象に残っています。」

「音楽に関心がいないと思っていた人たちも、校内にピアノがあるだけで足を止めてくれて。校内が“楽しさの色”に包まれて、音楽って“誰かのため”だけじゃなく“自分のため”にもあるんだなと実感しました。」

朋優学院高等学校の生徒さんたちと

本プロジェクトの柱となっているのが、「子どもたちに音楽をつなぐ」というコンセプトです。ピアノの中の仕組みが“見える”構造や、フェルトによる独特な音色は、音が生まれる仕組みそのものを体験できる装置としても機能します。角野さんは、「どうやって音が鳴っているのか目で見てわかるのは、子どもたちにとってワクワクする経験になるのでは」と語り、実際に多くの会場で、子どもたちが目を輝かせながらピアノに向き合う姿が見られました。また角野さんは「自分が音楽と出会えたのは、子どもの頃に大人たちがその機会を用意してくれたから。今度は自分が次の世代に伝える番だと思っている」と述べており、今後、音楽教育や地域文化の裾野を広げる取り組みとしても注目されています。

第Ⅱ期 募集要項

第Ⅱ期は、2025年6月~2026年3月にかけて実施される企画を対象に、全国から主催者を公募いたします。

募集期間 2025年5月1日(木)~5月25日(日)
実施期間 2025年6月~2026年3月(原則月1件、最大10件程度)
条件
  • 原則無料のイベントであること
  • ピアノ設置・演奏の許可がある場所で実施できること
  • こどもや学生へより音楽を広げる活動に重点を当てる。選考の際、その視点を優先する
費用負担 ピアノレンタル料は無料。運搬・調律費等は主催者負担
公式情報掲載予定 公式ウェブサイトへ
プロジェクト概要
角野隼斗 アップライトピアノ・プロジェクト「Piano for Myself」
発案・監修 角野隼斗
運営 一般社団法人 全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)
協力 株式会社イープラス
コンセプト 「子どもたちに、音楽をつなぐ」
本件のお問い合わせ先:
角野隼斗 アップライトピアノ・プロジェクト実行委員会

一般社団法人 全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)
担当:黒木真紀子・堀内菜々子
MAIL:public_relations@piano.or.jp

株式会社イープラス
担当:小針侑也

角野隼斗
1995年生まれ。2018年、東京大学大学院在学中にピティナピアノコンペティション特級グランプリ受賞。2021年、ショパン国際ピアノコンクールセミファイナリスト。これまでにポーランド国立放送交響楽団、ハンブルク交響楽団、ブダフォク・ドホナーニ管弦楽団、読売日本交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団等と共演。さらにFUJI ROCK FESTIVALへ出演など、活躍の場はクラシックフィールドに留まらない。2020年、1stフルアルバム「HAYATOSM」をリリース、オリコンデイリー8位を獲得。最新作は、マリン・オルソップ指揮、ポーランド国立放送交響楽団とのライブ録音による「ショパン:ピアノ協奏曲第1番」。クラシックで培った技術とアレンジ、即興技術を融合した独自のスタイルが話題を集め、“Cateen(かてぃん)“名義で活動するYouTubeチャンネルは登録者数が120万人超、総再生回数は1億回を突破するなど、新時代のピアニストとして注目を集めている 。CASIO電子楽器アンバサダー、スタインウェイアーティスト。
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