多くの子どもに音楽教育を~自治体「習い事助成事業」とピアノ教室

多くの子どもに音楽教育を
~自治体「習い事助成事業」とピアノ教室

子どもの体験格差が社会的な問題として注目される中、2025年10月現在、南房総市・千葉市・長野市・大阪市・吹田市・福岡市の6つの地方自治体で、学習塾だけでなく文化・スポーツ教室等も対象になっている「習い事助成事業」が展開されているのはご存じでしょうか?

今回は自治体の「習い事助成事業」に参画しているピティナ会員の教室から、参画意義や登録方法について、また助成を活用している生徒さん・保護者の声をご紹介します。

誰もが「やってみたい」「続けたい」を諦めなくて良い社会へ。ピアノ教室もその一員です。


習い事助成事業とは

自治体が子どもや家庭の経済的負担を軽減するために、習い事にかかる費用の一部を補助する制度です。各自治体によって、利用者の所得制限の有無など、条件は異なります。

  • 千葉県南房総市
  • 学校外教育サービス利用助成事業
  • 小学校5年生~中学校3年生/所得制限なし
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  • 千葉県千葉市
  • こども未来応援クーポン/千葉市学校外教育バウチャー事業
  • 小学5・6年生/所得制限あり
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  • 長野県長野市
  • 子どもの体験・学び応援事業(「みらいハッ!ケン」プロジェクト)
  • 小学校1年生~中学3年生/所得制限なし
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  • 大阪府大阪市
  • 大阪市習い事・塾代助成事業
  • 小学5年生~中学3年生/所得制限なし
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  • 大阪府吹田市
  • 子供の習い事費用助成事業
  • 小学5年生~中学3年生/所得制限あり
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  • 福岡県福岡市
  • 福岡市子ども習い事応援事業
  • 小学5年生~中学3年生/所得制限あり
詳細
参画事業者になる条件

個人主宰のピアノ教室も参画事業者として登録が可能です。各自治体によって登録方法が異なります。【教室所在地】が該当することが必要です。詳細は必ず各自治体の事業者向け要項をご確認ください。

条件一覧
千葉県南房総市
対象事業者条件
  • おおむね一年以上の継続有償提供実績があること
必要書類(個人)
  1. 参画事業者登録申請書
  2. 参画事業者登録申請書 補足書類
  3. 直近の所得税確定申告書の写し
提出方法 郵送または持参
事業者向け詳細へ
千葉県千葉市
対象事業者条件
  • 千葉市内に教室または事業所を有すること。
必要書類(個人)
  1. 申請者による事業運営の実態を確認できる書類 (直近の所得税確定申告書の写し、個人事業の開業届出書の写し等)
  2. 登録したい教室・サービスの情報が確認できる資料 (WEB ページのURL、チラシ・パンフレットのデータ等)
  3. 支払先口座の通帳やキャッシュカードの写真データ
提出方法 ウェブフォーム
事業者向け詳細へ
長野県長野市
対象事業者条件
  • 半年以上の継続有償提供実績があること
  • 長野市内または隣接市町村区域内でサービスの提供をおこなうもの
必要書類(個人)
  1. 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等の写し)
  2. サービス内容及び費用が記載された文書(チラシ・パンフレット等)
  3. サービス提供実績を示す書類またはウェブサイト等(パンフレット、団体概要等)
提出方法 ウェブフォーム
事業者向け詳細へ
大阪府大阪市
対象事業者条件
  • 大阪市及び堺市、豊中市、吹田市、守口市、八尾市、松原市、大東市、門真市、摂津市、東大阪市、兵庫県尼崎市の市区域内に教室または事業所を有すること。
必要書類(個人)
  1. 参画事業者登録申請書
  2. 参画事業者登録申請書 補足書類
  3. 直近の所得税確定申告書の写し
    ※ 事業開始後1事業年度未満の場合、開業・廃業等届出書の写し
提出方法 郵送
事業者向け詳細へ
大阪府吹田市
対象事業者条件
  • 吹田市内に教室または事業所を有すること。
必要書類(個人)
  1. 振込先確認書類
  2. 事業実態確認書類:直近の所得税確定申告書の写し等
    ※ 事業開始後1事業年度未満の場合、開業・廃業等届出書の写し
  3. 代表者等確認書類
提出方法 ウェブフォーム
事業者向け詳細へ
福岡県福岡市
対象事業者条件
  • 福岡市内に教室または事業所を有すること。
必要書類(個人)
  1. 振込先確認書類
  2. 事業実態確認書類:直近の所得税確定申告書の写し等
    ※ 事業開始後1事業年度未満の場合、開業・廃業等届出書の写し
提出方法 ウェブフォーム
事業者向け詳細へ
ピティナ会員からの声
大阪市
松井 奈美先生(指導会員)

子どもたちの習い事の経済的な負担を少しでも軽減できれば喜ばれると考え、迷わず制度に登録しました。私自身も3人の子どもを育て、かなりの教育費用がかかった経験から、保護者の立場であれば「ぜひ先生に登録してほしい」と強く思ったからです。
ただ、パソコン操作があまり得意ではないため、登録作業は大変でした(最終的に保護者の方に手伝っていただきました)。
大阪市は小学校5年生から中学校3年生まで塾代助成が利用できるため、受験など大切な時期のピアノ退会者を少しでも食い止められると感じています。
この制度は、経済的な格差に関係なく、子どもたちが音楽に触れる機会を広げてくれていると思います。地域の文化や情操教育を支える、非常に大きな仕組みだと感じています。

山本 澄枝先生(指導会員)

大阪市からお声がけいただき、制度に登録しました。事業開始当初ということもあり、市の方が面談にお越しになるなど、登録まで少々対応に手間がかかりました。また、請求申請などの事務作業も発生します。
小学校高学年になると、塾通いが増え、習い事をやめる生徒が増える傾向にありますが、この制度のおかげで、ピアノレッスンを緩やかにでも継続する生徒が増えました。勉強の傍らに音楽があることは、気分転換や癒やしになっていると感じています。

福岡市
三上 由佳先生(正会員)

知人にダンス教室や学習塾、英語教室などに「習いに行く立場」でこの制度を利用している方がいて、「とてもありがたい」と言っていたのが登録のきっかけでした。また、登録事業者として教室名がネット上に掲載されることで、教室の認知度が少しでも広まり、ピアノ人口の増加の糸口になるのではないかと考え、2023年に登録を済ませました。登録の際は確定申告書の控えの画像を添付する必要がありましたが、スマートフォンで簡単に申請できました。
「習いたくても習わせてあげられない」という親御さんの気持ちや、「習いたいけれどお月謝が…」と親に言えない子どもの思い、そして「ピアノの月謝は高い」というイメージを払拭する一環になるのではないかと感じています。これは高島市長の取り組みの一つですが、該当するご家庭にとっては非常にありがたい制度であると思います。

岡宮 のり子先生(指導会員)

生徒さんから申し出があった為登録しました。生徒さんとの申請内容の確認がオンライン上でできたので、意外とスムーズでした。空き枠が限られているため大きな生徒数の増加はありませんでしたが、導入後に1〜2名程度の新規入会がありました。経済的な支援により、音楽を学ぶきっかけを持てる子どもたちが増えていくと感じます。家庭の事情に関わらず、音楽を通して自己表現や自信を育む機会が広がることで、地域全体の文化の裾野を広げる大切な役割を果たしてくれるのではないかと期待しています。

小島 奈美子先生(指導会員)

以前、どこかで制度のことを目にして何となく登録したのがきっかけでした。細かな手続きの詳細は覚えていませんが、登録自体は意外とスムーズだったと記憶しています。現在は、助成制度を利用して通ってくださっている生徒さんがいます。また、その方とは別に、この事業をきっかけに当教室をご入会につながった方もいらっしゃいます。
ひとり親家庭では、経済的な事情にかかわらず子ども自身が遠慮して習い事を我慢してしまうケースもあります。その意味でもこの制度はとても意義のあるものだと感じています。

活用している生徒さん・保護者の声
福岡市
本人が習いたいと希望したので助成を活用しました。本人は音符が読めたこと、好きな曲が弾けるようになったことが、嬉しいと言っています。
不登校の中、ここのピアノ教室なら心の落ち着く場所になるかもと思い、通うことを決めました。上達していくピアノを母が楽しみにしてくれており、もっと頑張ろうと思いました。
娘から「ピアノを再開したい」と希望があり、クーポンが利用できる教室で本人が通えるところを探しました。今年の6月から通い始めましたが、音符が読めるようになったこと、簡単な曲はスラスラ弾けるようになったこと、以前は左手の音符が読めなかったけれど読めるようになったことなどで、とてもモチベーション高く取り組めています。
小学6年生まで習っていましたが、一度お休みしていました。この制度を知り本人に話したところ「また習いたい!」と目を輝かせていました。現在は中学3年生で受験を控えていますが、本人の希望で毎週レッスンに通っています。基礎を大切に積み重ねながら弾きたい曲が少しずつ弾けるようになるのを楽しんでいます。
大阪市
低学年の頃からピアノを習っていたので助成が使える学年になったタイミングで申請しました。
塾には行きたくないけれど、ピアノなら習ってみたいと言われ、通うことを決めました。好きな曲を弾けるように教えてもらえるのが嬉しいとのことです。
3歳から習い始め現在15歳の長男は何をやっても続きませんが、ピアノの習い事だけは大切にしています。思春期の難しい時期に差し掛かってからも、ピアノを弾ける素晴らしさには気づいているのか、辞めたいとは決していいません。 本当にピアノを習わせて良かったと意思疎通の難しい年頃に差し掛かったからこそ、気づけた事だとおもいます。又、親に言えないことを、先生に相談してる様で、第二の母と子どもは思っている様です。

ピティナ会員の先生方へ

助成事業へ参画しているお教室は、以下のフォームよりお知らせください。一覧への追加掲載、教室紹介ページへのマーク付与をさせていただきます。

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