あなたと歩んだ60年、ステージに刻まれた物語 ~ピティナの歴史を紡ぐ特別連載のご紹介~
1966年の創立以来、多くのピアノ指導者、学習者、そして音楽を愛する皆様に支えられ、ピティナは創立60周年の節目を迎えることができました。
黎明期の指導者の工夫、半世紀にわたるコンペティションの記録、そして30年目を迎えたピアノステップの出演者コラムから、それぞれの事業の歴史が伝わる象徴的なエピソードをピックアップしてご紹介します。
「わたしとピティナ」では、全国の指導者、参加者、支部・ステーションの皆様から寄せられた、ピティナとの出会いや忘れられない思い出を掲載しています。そこには、教科書には載っていない「生きたピティナの歴史」がありました。

保育系大学に通う生徒の卒業試験に向けて、教室発表会とは違うフォーマルな舞台を探していたことから出会ったピアノステップ。会報付録のCD-ROMで目にした「あなたの街でもピアノステップを」という言葉をきっかけに、個人教室の先生として城南ステーションを立ち上げる大きな一歩を踏み出しました。地域に根ざしたステージづくりに奔走した日々と、ステップとともに歩んだ25年の軌跡。
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45年前の北海道支部設立当初は、一軒一軒のピアノの先生を直接訪ね、対話を重ねる地道な日々から始まりました。車を走らせ、心と心で繋いできたネットワークが、今の北の大地の音楽シーンを支えています。
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まだ5歳だった我が子のために、母親が「音楽の友」の広告欄を見て、創設者である福田靖子先生に直接お手紙を書いたことから始まった出会い。第1回コンペに最年少で参加し、小2のアメリカ演奏旅行で中田喜直先生や当時中学生の若林顕さんと過ごした経験が、33歳でのピティナ初の指導者賞、そして50年にわたるピティナとの歩みへと導きました。
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「兎も角、指導の勉強がしたい」と、48年前に小さな事務所で開催されていたバスティン研究会に足を運んだ思い出。毎週のように本部に通い、教材研究に励んだ指導者たちの探求心が、ピティナの「学ぶ文化」の礎となっています。
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1998年にわずか9名の会員からスタートした広島中央支部。2004年に初めて開催したコンペ入賞者記念コンサートのゲストは、当時小学3年生の小林愛実さんでした。地域でステージを作り、本物の音楽を子どもたちに届けてきた軌跡がここにあります。
記事へコラム内では、皆様の家に眠っていた懐かしいお宝写真やグッズも公開中。

何度も巻き戻しては、そうそうたる演奏者の音に耳を傾けたアナログ時代。現代のネット聴き比べへと続く、学習者たちの努力の歴史です。

台風の猛烈な雨の中、客席には10人ほどしかいなかったという特級全国大会。スマホもなく交通情報すら得にくかった時代、ハラハラしながらステージを支えた運営と指導者の絆が伝わります。

現在20編ほどの「わたしとピティナ」の寄稿をいただきました。どれひとつ同じものはなく、と同時に、どの記事にも共感できるエピソードや想いがあります。まさにこれが「ピティナ」なのだろうな、と思います。
私自身のピティナとの出会いは小学生の頃、コンペを受けたことでした。まだ東音ホールのステージは高く、福田靖子先生が講評をくださったのを覚えています。一般大に行きましたが、その後もG級まで参加を続けました。入局後は初期の頃のステップ担当となり、各地の先生方から新しいアイディアが出てはシステムを作り、継続回数が増えては記念品を考え…と、まさに「人」にあわせて事業が成長していくのを目の当たりにしてきました。「やってみたい」と立ち上げた学校クラスコンサートが、海外に移住していた間も続けてもらっていて、21年続く事業になったことは感無量でした。
それぞれの人が関わる「ピティナ」は、ほんの一部かもしれない。けれど、その根底に流れる真摯な想いには、同じ匂いを感じます。ぜひこの機会に、あなたが知らなかった「ピティナ」も、のぞいてみてください。そして、あなたの「ピティナ」のおすそわけも、お待ちしていますね。
from 二子千草
半世紀(50回開催)という、まさに日本のピアノコンクールの歴史そのものを歩んできた「ピティナ・ピアノコンペティション」。 このステージは、単に順位を競うだけでなく、多くの学習者にとって「人生の土台」となる貴重な経験を育んできました。A1級~F級までコンプリート参加された方に大切なピアノとの歩みを伺いました。

高校3年生の受験生である大形さん。コンペを続ける中で、遠くの会場まで送迎し、一緒にご当地グルメや観光を楽しんでくれた家族は最大の原動力でした。母はアドバイザー、父は褒め役、兄弟は連弾仲間。「今年はコンペをお休みするけれど、息抜きに今年の課題曲を触ってみたい」と、今もピアノは温かい相棒です。
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国立大学の医学部で臨床実習に励む天野さんは、コンペの完走者であると同時にそろばん暗算十段の持ち主。あえて勉強前の5分だけピアノに向かうことで感性と理性を響き合わせて両立を達成。「やり直しのきかない、消しゴムで消せない本番のステージが、医師としての真剣な眼差しを育んでくれた」と振り返ります。
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12年間のコンペ生活を支えたのは、お母様が作ってくれた30着以上のステージドレスでした。ドレスの裏に忍ばせたメッセージやお守りが入った「魔法のポケット」は、緊張する本番の大きな心の支えに。現在は大学の看護学科で、将来患者さんの心に寄り添える看護師を目指す原点となっています。
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「大学卒業を機に、ピアノはもう一生弾かないと決めて蓋を閉めた」と語る長原さん。証券会社の営業として仕事に没頭する中、コロナ禍をきっかけに3年ぶりに楽器に触れた時、驚くほどピアノが楽しかったと言います。「仕事でのさまざまな人生経験が、今の自分の音を作っている」という言葉は、大人の音楽の深さを教えてくれます。
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幼少期から高校卒業までコンペと共に歩み、A1級からF級までをすべて完走して「コンプリート賞」を受賞。現在はシンクタンクの研究員(理学博士)として社会保障政策の調査分析という最前線で活躍する傍ら、演奏活動を再開。「毎年の参加要項や盾は、今も大切に保管している人生の歴史」と語ります。
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コンクールという舞台は本番の一瞬だけで終わるものではありません。曲を選び、練習を重ね、先生のレッスンを受け、ご家族に支えられながら緊張感の中でスポットライトを浴びて演奏する。そして結果を受け止め次へと向かう―。この全ての経験が一本の線として繋がり、確かな成長へと導いてくれます。
私自身、かつて楽器店で支部事務局として運営に携わり、一参加者としてグランミューズ部門のステージにも立ちました。運営時には進行上の「タイムスケジュール」だったものが、演奏者になると「間合いという音楽の一部」に変わる―。その両面を経験したからこそ、皆様の大切なピアノ人生の中にピティナが深く関わり、ステージで培った力を糧に社会の様々な分野でしなやかに活躍されていることを、事務局員として大変嬉しく感じております。
今を頑張る子供たちやご家族への温かいエールが詰まった本連載を、ぜひ沢山の方にお読みいただければと思います。
from 森本綾子
「いつでも、誰でも、どんなレベルでも参加できる」ステージとして誕生し、30年を迎えた「ピティナ・ピアノステップ」。 仕事、学業、病気や生活環境の変化……人生のさまざまな荒波の中で、ピアノを「弾き続けてきた」出演者たちの等身大の輝きをご紹介します。

ドラッグストアで医薬品登録販売員として接客の仕事をする渡辺さん。2021年にうつ病を発症し、現在も通院治療中ですが、10分でもピアノに向かうと辛いことを忘れ、ストレスが解消されると言います。30年前から温かく迎えてくれる指導者の先生に見守られ、年1回のステップ参加を毎年の目標にコツコツと歩みを進めています。
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今年から中学校で音楽と英語の教員として働き始めた妹尾さん。ピアノ歴は20年。社会人1年目の今年はレッスンに通う時間はなかなかありませんが、授業の伴奏や、休み時間に生徒のリクエストに応えてピアノを弾くという、これまでとは違う「緩やかで温かいピアノとの関わり方」に幸せを感じています。
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スーパーのレジ担当として働く平松さんは、ピアノ歴30年。家族が転勤族だったため、ピアノとは別れと再会の繰り返しでした。大人になって出会ったステップの舞台は大きな心の支えであり、アドバイザーの先生がこれからの可能性を信じて贈ってくれる講評の言葉は「未来へのギフト」だと語ります。
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社会人になってからレッスンを再開し、現在はバッハの『パルティータ』全曲制覇という大きな目標のゴールが見えてきた会社員の藤脇さん。日常から離れ、純粋に音楽と向き合って無の境地に入る時間は、何物にも代えがたいリフレッシュと達成感を届けてくれます。
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長崎県で医師として多忙を極める南さん。受験や大学時代に長い中断がありましたが、15年ほど前に再開し、現在は独学で練習を続けています。そんな南さんにとって、転勤続きの生活でも行く先々で開催されているステップは、自分の立ち位置を確認できる大切な「道しるべ」となっています。
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入社以来15年、ピアノ・ステップとともに歩んできました。ステップは30年目を迎えますが、その半分をご一緒できたことを、とても嬉しく思っています。
私自身はピアノは弾けないのですが、管楽器や歌で参加し、昨年ようやく5回表彰をいただきました。コンスタントに舞台に立ち続ける皆さんを尊敬しておりますが、私のように緩やかなペースで参加しても、温かく受け入れてもらえるのがステップ。アドバイザーの先生方のコメントや、見知らぬ方からいただいたステップ・コミュニケーションなど、人と人とのつながりを感じられるのが魅力だと思います。
取材を重ねるたびに、ピアノが誰かの癒しや力になった瞬間に出会います。多様な目的、背景を持った皆さんのエピソードの集積が、ステップの懐の深さを体現していると感じます。ピアノを始めたばかりのお子さんや保護者の方、先生方にも、ぜひそのエピソードの数々を読んでいただけたら嬉しいです。
from 岩山有子
カセットテープの時代からデジタルへ、小さな研究会から全国規模のネットワークへ――。 時代が変わっても、私たちが音楽に向き合う情熱は変わりません。 ピティナの60年は、皆様一人ひとりの「ピアノが大好き」という想いの積み重ねです。
ぜひ、この3本の記念連載を開いて、あなたが歩んできたピアノの歴史と重ね合わせながら、心温まるストーリーの数々をお楽しみください。
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